瀬尾まいこ「傑作はまだ」読書感想‐希望の光が差し込む親子再生

私は小説家による小説家の話が好きなのですが、「傑作はまだ」はまさに小説家が主人公。

あまり外との繋がりがなかった主人公の生活が、はじめて会う息子との関わりをきっかけに変化していくお話です。

希望がある話を読みたい方におすすめです。

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1.「傑作はまだ」作品紹介


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作者は瀬尾まいこさん。

‎「傑作はまだ」は、エムオン・エンタテインメントより2019年に発行されました。

瀬尾まいこさんの著作はほかに、「そして、バトンは渡された」「僕らのごはんは明日で待ってる」など。

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2.「傑作はまだ」のあらすじ

主人公の加賀野正吉まさきちは、大学卒業後からずっと小説で生計をたてています。
編集者とのやりとりがあれば家でも仕事ができるため、長年外との交流がありませんでした。

ある日、今まで会ったことがなかった息子の永原ともが加賀野の家を訪れ、しばらくの間住むことになります。
その息子は、加賀野が友人に誘われた飲み会で一緒だった永原美月みつきとの間にできた子でした。

加賀野と美月は、結婚しても上手くいかないだろうという結論に達し、加賀野が月に10万の療育費を払い、美月は智の写真を加賀野に送る約束を交わしました。

写真だけでしか見たことのなかった息子との共同生活が、加賀野の生活に影響を与えていきます。

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3.「傑作はまだ」の感想

息子の智は、言いたいことは言うけれど、人を悪い気持ちにさせない魅力ある人物です。
はじめは戸惑っていた加賀野も、次第に心を開いていきます。

加賀野は、自分とは正反対の明るく社交的な息子に引っ張られ、外に出ていくのですが、周りの人との繋がりのなさに愕然とするのでした。

人との関わりの大切さを実感しはじめた加賀野は、不慣れながらもご近所付き合いというものをはじめていきます。

その気持ちの変化は加賀野が書く小説にも影響を与えました。

外に出なくでも仕事ができるゆえ、長い年月、外との関わりをもたずに暮らしてきた加賀野。

私も人付き合いは苦手なので、共感するところがありました。

「人との繋がりは大切」とは分かっていても、そう簡単に出来ないのが、人付き合いが苦手な者が悩む所以。

「よし、人と関わろう」と思ってもそう簡単にはいかないことは、今までの人生で何度も経験してきました。

実際加賀野のように、どんどん上手くいったりはしないだろうけれど、少し希望をもたせてくれる、気持ちを軽くしてくれるあたたかいストーリーでした。

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