青山美智子さん作「木曜日にはココアを」の続編「月曜日の抹茶カフェ」
「木曜日にはココアを」で登場する喫茶店マーブル・カフェでは、定休日の月曜日に1日限定で「抹茶カフェ」が営業していました。
たった1日だけ開かれた「抹茶カフェ」から12の物語がはじまります。
・ほっこりしたい。
・生き方のヒントを得たい。
・「木曜日にはココアを」が好き。
1.月曜日の抹茶カフェ・作品について
「月曜日の抹茶カフェ」は宝島社から2021年に発行。
作者は青山美智子さん。
青山美智子さんの著書は「猫のお告げは樹の下で」「お探し物は図書室まで」などがあります。
「月曜日の抹茶カフェ」と同じマーブル・カフェが出てくる「木曜日にはココアを」のレビュー記事はこちら
青山美智子「木曜日にはココアを」感想‐何気ない行動も何かを変える
2.月曜日の抹茶カフェってどんな本?内容を紹介
川沿いの桜並木のそばにある喫茶店マーブル・カフェでは、定休日や閉店後にイベントを行っていました。
そのイベントの1つとして行われたのが「抹茶カフェ」
宣伝していないため、たまたま行った人が出会えた「抹茶カフェ」の話から、12の主人公の12の物語が12か月で語られていきます。
「月曜日の抹茶カフェ」は東京と京都が舞台で「木曜日にはココアを」の登場人物も何人か出てきます。
「木曜日にはココアを」のように、前の話に出てきた登場人物があとの話に出てくるので、「もしやこの人が次の主人公では?」と想像しながら読むのも面白いです。
3.おすすめポイントと感想(ネタバレを含む)
「月曜日の抹茶カフェ」は「縁」がテーマになっています。
上手くいっていないと思っていても、実はそこから新しい縁が生まれていて、その縁が生きるヒントを与えてくれたり、背中を押してくれる内容に気持ちが前向きになりました。
ときには自分が今やっていることの価値、やってきたことの価値が分からなくなって落ち込むことがある。
けれど誰かのちょっとした一言がきっかけで、見方が変わって自分を認められたり、見える世界が変わったりするのが素敵なことだと思いました。
「拍子木を鳴らして」にじんわり
12の物語のなかでじんわりくるものがあったのが「拍子木を鳴らして」
おばあちゃんに育てられた光都は、おばあちゃんからの干渉を窮屈に感じ、地元京都を離れ上京しました。
用があり5年ぶりにおばあちゃんがいる実家に帰るもギクシャク。
ガッカリする光都ですが、叔母の雪乃から本当のおばあちゃんの気持ちを聞き、自分のおばあちゃんに対する気持ちにも気がつくのです。
子どものころに何らかの規制があった方は、共感するものがあるのではないでしょうか?
私も祖母から育てられ、髪型を自由にできなかったことがあり、光都の気持ちがなんとなく分かるようでした。
それでも好きで、イヤでもあり、何度もうんざりしたけど、やっぱり大事にしたい気持ち。
目にじんわりくるものがありました。
おすすめの話です。
「縁」の大切さを実感、痛いほどに
12番目のお話「吉日」の中の言葉も印象に残りました。
縁って、実はとても脆弱なものだと思うんです。どちらかが一度でもぞんざいな扱いをしたら、あっけなくちぎれてしまうぐらいに。ひとつひとつ交わす言葉や、わずかでも顔を合わせる時間や、相手へのそのつどの思いやりや……丹精込めて手をかけて、続いていくものなんですよ。
今までの自分と他者との関係を振りかえるきっかけになりました。
何度もせっかくの縁を大切にできなかったかったことに胸が痛くなりつつも、この本を読んで気づきのきっかけを得れたことはよかったと思います。
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