伊坂幸太郎「逆ソクラテス」の感想ー「僕はそうは思わない」は名言

伊坂幸太郎さんの「逆ソクラテス」の主人公は小学生で、5つの短編集。
2021年本屋大賞4位になった作品です。
心に残るセリフや、学ぶところが多く、読書感想文を書くための本をお探しの方にもおすすめです。

「逆ソクラテス」は、こんな方におすすめ
・子ども同士で協力して、何かに挑戦する話が好き。
・悔しい気持ちが報われる話が読みたい。
・周りの目や評価に悩んでいる。
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1.逆ソクラテス・作品内容

作者は伊坂幸太郎さん。

「逆ソクラテス」は、集英社より2020年に単行本が発行されました。

伊坂幸太郎さんの作品はほかに「オーデュボンの祈り」「重力ピエロ」など。

【あらすじ】
逆ソクラテス
加賀の担任・久留米は、草壁という児童をダメな奴だと決めつけて接し、自分が正しいと思い込んでいるから、厄介な教師です。そのせいで草壁は、周りから見下されています。クラスの転校生・安斎と加賀は、そんな久留米の先入観を壊すための作戦をたてます。

スロウではない
足が遅いのに運動会のリレーの選手に選ばれてしまった小学生の
同じように足の遅い村田花もメンバーで、村田の友人・高城かれんの協力を受けながら、なんとかタイムを縮めようと試行錯誤します。
小学生時代の場面と、その頃のことを当時の担任と話す未来の場面を、行き来しながら話が進みます。

このほか、
・担任の久保先生が頼りなく、クラスが学級崩壊状態になってる将太(非オプティマス)
・肝心なところで一歩が踏み出せない(アンスポーツマンライク)
・ワシントンが桜を切ったことを正直に言った話が好きな母をもつ謙介(逆ワシントン)
の計5つの話が収録されています。

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2.逆ソクラテス・感想

この本のなかで一番印象に残った登場人物は、表題作「逆ソクラテス」に出てくる安斎です。
加賀のクラスの転校生ですが、驚くほど人生を分かっているような考え方をしています。

2-1.事実と個人の考えは違う

安斎は、「事実」と「個人の考え」を分けて考える大切さを知っています。
本の中で例えているように、もし、加賀の父が仕事を失い、それを誰かが情けないと言ったとしても、「事実」なのは、加賀の父が仕事を失ったことであり、情けないというのは「個人の考え」にすぎない、と分けて考えています。

誰かに気持ちが沈むことを言われると、それが真実なのか、落ち込むようなことなのかに関わらず、心にダメージを受けることがあります。
ただひとりに言われただけなのに、全員が思っているように感じることも。

そんなときに、どこまでが事実で、どこからが個人の考えか分けて考えられることは、必要以上にストレスを抱えずに生きていくために大切な思考法だと思いました。

2-2.僕はそうは思わない

安斎の言葉で名言だと思ったのが、「僕はそうは思わない」です。

他人の決めつけや考えに負けない言葉として、安斎が、加賀や草壁に教えています。

人の言葉を全部受け入れることはないんだ、感じ方は人それぞれで「僕はそうは思わない」でいいんだと思えることで心が楽になります。

久留米の厄介な決めつけや、先入観、自分は正しいという思い込みですが、こういった思い込みは、他人事だと思ってはいけません。
私自身、会話をする前から「この人はこういう人かな」と思って接してしまうことがあるからです。

先入観によって、自分の考えに都合のよい部分しか見えなくなってしまう危うさを、心に留めていかなければと思います。

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